♪近頃徒然に思うこと、再度ヨガとは?

 先日、レッスン前のおしゃべりタイムで、70代半ばの女性2人がその年頃の共通な話題である「健康」について盛り上がっていました。1人が「ヨガを始めて40年近くなるからね~」と言うと、もう1人が「羨ましい、私ももっと早く始めていたら、といつも思うの」

 ちなみに、ヨガ歴が40年近くなると話した彼女は私が仕事としてヨガの号令をかけ始めた最初からの生徒さんです。

 聞いていた私は、この言葉に至る時間を考えて、何も言えないくらい感激してしまいました。

 

 その翌日、やはりおしゃべりタイムで乳がんを経験した人が語ったのは、術後に面談した医師に「腕を上げてみてください」と言われ「ハイ」と応じて腕を上げたところ、医師は怪訝な顔をして、再び彼女に同じ言葉を発したそうです。

 彼女がもう一度腕を上げたところ、医師は「リハビリは要らないですね、吃驚しました。何かしていましたか?」と尋ねたと笑って話していました。

 ヨガを始めて10年経つかな、という頃に乳がんの手術をした彼女は、それから15年経った今も週一回休むことなくレッスンに来ています。

 

 長くヨガを続けている人たちは、今になっていろんなことを話してくれます。その当時は辛かったり、家族の用事も多々あったりして自分のことを振り返ったり話したり出来なかったかもしれないのですが、時が経ち、今、落ち着いて自分が歩いて来た道を振り返ることが出来ているのかもしれません。

 

 今では、がんもうつ病もその他の様々な難病も、患者さんの会があったり専門家のカウンセリングがあったり家族会があったりと、ケアの道を探すこともわりとやさしいけれど、ほんの30~40年前は病気になったら個人で耐えるしかなかったことも改めて思います。

私も生徒さんの病に対し何もできませんでした。いつも、ただただ回復を待って、各々の力でレッスンに復帰してくれる日を待っていることしか出来ません。

 

 それにしてもヨガはなんと不思議な体操なんだろう❗ と改めて思います。

 その人の強い意思で「続ける」だけで何十年か後に続けていて良かった、と思わせてくれる。病気の人にも、健常な人にも同じポーズの号令をかけ、特別扱いなど一切せずにレッスンをするのに、それぞれの人にちゃんと合った効果をもたらしてくれるのですから。

 

 私たちがレッスンしている皆さんはたった40~50人ですが、その中でも20年、30年、40年とヨガを続けている人たちには、ヨガは生活そのものになっています。確かな効果や結果を求めてはおらず、続けられる限りヨガをするだけなのです。

 

 そして、レッスンに来ている様々な年齢の人たち、男性も女性もそして私たち皆に共通なことは年をとり、老いることです。ヨガの哲学では、老いは治療法の無い病と言いますが、もしかしたら最も深刻な病は老いる、ことかもしれません。

 私たちのレッスンに長く通っている人たち、私たちにしても、今もこの老いという病が進行中(笑)ですが、ヨガのポーズをアレコレしながらこの病を受け入れていくしかありません。

 幸運なことにまわりには人生の先輩がいますから、先輩を見て学び、同じ場所で同じポーズをしながら進行中の老いという病と共に生きたいと思う、近頃です。